None Becoming

「成長」と言う言葉が僕は嫌いだ。決して薄くはないはずだと僕が信じている壁を三枚ほど隔てた向こう側から、無粋なイビキが聞こえてくる。少なくとも僕が眼前に相対するセカイにおいて、「成長」とは、それこそが不断の苦労への無間地獄のようだ。

 

なるべく安価で人生を仕上げたいし、なるべく安価で美女とやりたい。然し乍ら、あな不可思議。それは才能の賜物で、「努力」と言う言葉は冴えない娼婦への入り口のようだ。

 

一度均衡が崩れたら、あとは転がり落ちるように事態は悪くなって行く。それが最近の僕の日々で、気分は下々。上乗になることがない。まるで不器用なカフェ店員が拵える、いつまでも何らかの象徴にならない、気の遠いほど混沌なラテアート。

 

狭い空間に人間ばかりが過密するから、僕もまた義理なんてものを感じてしまう。そんなもの本当は、どうでも良いのに。